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グーグルマップを悪用・逮捕 -新技術の報道のされ方、受け取られ方-

泥棒のジレンマ

グーグルの衛星画像悪用して住宅に侵入、モスクワ

この記事、簡単にまとめると、
「グーグルマップを犯罪に利用した人間が逮捕された」
という内容なのですが、この記事を読んで皆さんはどう感じられるでしょうか。

「危ないサービスだから起こって当然」「やっぱりグーグルはだめだ」「犯罪を助長する」「世界の秩序を乱す」「恐怖の大王が降ってくる」「うちの犬が言うことを聞かないのはグーグルのせいだ、躾け代をよこせ」などなど、ネガティブな意見が多いのではないでしょうか。

試しに、ソーシャルブックマークの「はてなブックマーク(2009.6.8 13:50現在)」のコメントを見てみましょう。

地図情報WGにどう影響するのかな 2009/06/06
携帯ブクマ 2009/06/06
道具の使い方。 2009/06/06
新しい技術やサービスが古い犯罪に活用される、という現象自体は当然にあり得ることとしても、社会の側はそれに対応していくコストに納得できるのか。 2009/06/06
遂に起こるべくして起こったか 2009/06/06
ふーむ 2009/06/06
やっぱりこうなった!やっぱりこうなった! 2009/06/06
こんなサービスがありゃ、当然こうなる。 2009/06/06
※コメントのあるもののみ全文掲載

おおよそ「こういうサービスなのだから起こって当然」といった流れのようです。

がしかし、少なくともこのニュースソースだけでは、「グーグルマップ」が「犯罪」の直接の原因になったわけではなく、「犯罪」がひとつのツールとして「グーグルマップ」を利用したにすぎません。
(もちろん、善良な市民がグーグルマップを見て、突如「こりゃ犯罪に使えるぜ、ぐふふ」と180度人生観を変えたかもしれませんが……、このニュースからは判断できません)
「バタフライナイフ」が「人殺し」を生むのではなく、「人殺し」の結果を生む人間が、ツールとして「バタフライナイフ」を使うだけでしょ? という話に近いかと。
グーグルマップ以外にも狙える物件詳細を調べる手段はいくらでもあるはずです。

ではなぜこのニュースが掲載されたのでしょうか。
例えば、市販の地図やら不動産情報を使って泥棒が入った、くらいの話であれば、ニュースにさえなりません。
なぜか。
それはありふれているからです。

「ある女性が橋を渡っていたら23,649円入った財布を落とした」
ニュースになるか? なりません。
「チンピラグループ同士がガンを飛ばしあってあたりは険悪なムードになった」
ニュースになるか? なりません。
「日曜日、麦茶を飲んでいたらいたずら電話がかかってきて、いやな気分になった」
ニュースになるか? なりません。
全て、日常的すぎます。
日常の事象をいちいちピックアップしていくのは、報道機関のキャパ的にもビジネス的にも不可能でしょう。

が、これが例えば、
「いたずら電話がかかってきて受け答えしていたら、生き別れた戦争孤児の兄であることがわかり、60年ぶりに涙の再会を果たした」
となると、きっと「マス」に情報がのるでしょう。

なぜか。
特異的だからです。
特異的な情報には「ニュース価値」があるのです。
グーグルマップがやり玉にあげられているのは、現時点での犯罪に利用されるツールとしては特異的だからです。

ただ、このニュースにはもうひとつ特徴があります。
それは「ユーザーの反応が想像できる」点です。

例えば「ゲーム脳」の話。
「ゲームを長時間すると、創造力や理性が低下する」と聞くと、確かに確かにとうなずく人も多いはずです。
なぜなら、ゲームの特徴からその結果を想像するのが簡単だからです。
「リセットすればやり直せる」「プログラムに沿った回答しかない」「暴力や過激な表現が散見できる」等々。
たとえ科学的な根拠がなかったとしても、「そういう答えにしたい」と思っている人の根拠になり得るわけです。

根拠になりえる人が多く、やがて多数派となり、いつしか正論になる「予感」を持っているニュースもまた、とりあげられやすい話題かと思われます。
グーグルマップの場合も、「そういう答えにしたい人」が少なからずいるだろう、ということは、サービスを使ってみればわかります。
また、最近のストリートビューの問題などでも想像することが可能です。

「そういう答えにしたい人」の気持ちを満たせる情報、気持ちを満たした上で次のステージに情報を推し進める、いわば扇動型の性質も、今回の報道には含まれているように思えます。
つまり、ニュースが持っている情報量を超えた、このサービスに対する批判やネガティブなイメージを植え付ける可能性を持ったニュースかと考えられます。

では、メディアは「何か腹黒いことを考え、こういった情報を流している」と考えるべきでしょうか。
例えば「新しい技術やライバルになりそうなメディアを叩いて、自分たちの利益を守ろう」といった陰謀めいたものが、こういったニュースに含まれているのでしょうか。

おそらくそれは、無いかと。
現実問題、数多くのニュースの中に紛れた、小さなワンセンテンスに対して、いちいち意図だ広告だを加えていては、ビジネスとしてメディアは成り立たちません。
考えるに、記事を書いた人の小さな期待(ユーザーの反応の良さ等)から生まれただけのニュースだろうと思います。
が、良くも悪くもネットを中心とした「情報の流れ」は、小さなソースから大きなうねりへと変化していくものです。

ある種の流れが起きた際、我々ユーザーが「待てよ?」と思えるストッパーがあることが、上手に情報を受け止めるコツに思えます。
願わくば、新しいメディアやサービスが、根拠に乏しい情報から負のイメージに傾き、つぶされないことを祈るばかりです。
グーグルマップのコアユーザーとしては(笑)。

(文責・部屋長)

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