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2009年6月 9日

【舞台】山海塾『卵を立てることから−卵熱(うねつ)』

5月のとある週末、福島県いわき市に行って来ました。

先日グランドオープンした、いわき市芸術文化交流館「アリオス」で
こけら落とし公演として行われた、山海塾(※)の
『卵を立てることから−卵熱』を観るためです。

img_unetsu.jpg

ベテラン舞踏手・蝉丸さんや若手舞踏手・市原さんが不定期に行う
個人的なワークショップに参加するほどの山海塾ファンな私は、
鼻息も荒く、いわきに乗り込みました。

山海塾
1975年、天児牛大(あまがつ・うしお)が創設した舞踏カンパニー。
1981年よりフランスおよびパリ市立劇場を創作の拠点として活動。
すべての演目の振付・演出を担当する天児牛大の独自の世界観が堪能できる。
剃髪の男性舞踏手が全身を白塗りして踊るのも特徴のひとつ。


『卵を立てることから−卵熱』は、今から23年前に初演され、
日本では今回が5年ぶりの再演となる演目です。
舞台の中央には水が湛えてあり、演目の途中から終演まで
上手奥からは水が、下手奥からは砂が絶え間なく落ち続けます。
この水は「生」を、砂は「死」を表現しているといわれています。

演目の終盤、天児牛大が手にする大きな石こう製の卵が、
落下する「生」の水の力で割れ、そこから“何か”が生まれます。


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私たちが普段思うイメージでは、誕生は喜ばしいこととして捉えることが
多いと思うのですが、天児牛大は、誕生を「死への確実な歩み」と捉え、
“何か”が生まれてしまったことを深く嘆き、悲しみます。

その悲しみを表現した舞踏がとても切なく、思わず涙してしまうほど。
「気も狂わんばかりの悲しみ」の状態を、一言の声を発することなく、
身体表現だけで観る者に印象づける、その表現力の豊かさ、素晴らしさは
天児牛大が「世界中から注目される優れた舞踏家のひとり」であることを
改めて感じさせる瞬間でした。


全身白塗りの舞踏手がゆったりと踊る「舞踏」というジャンルは、
見た目のインパクトもあり、「気味が悪い」「おどろおどろしい」と
思われる方も多いかも知れません。
しかし、山海塾のそれはしなやかで美しく、とても魅力的です。
山海塾が拠点とするパリをはじめ、海外のメディアはその美しさを
「動きを許された彫刻」と評し、山海塾の舞踏の質の高さを賞賛しています。


『卵熱』の終演後、楽屋にご挨拶に伺い、創設メンバーにして山海塾の社長である
舞踏手・蝉丸さんに今後の予定を聞いたところ、今春、都内の劇場などで行われた
「フェスティバルinトーキョー」という芸術祭(山海塾は「金柑少年」で参加)が、
秋にもまた開催されるかも知れない、その時はまた参加して欲しいというオファーを
受けていると聞きました。

ご興味のある方はぜひ一度、劇場に足を運んでみてください。
言葉では説明のつかない、身体が奏でる美しい旋律は、
あなたの「心の穢れ」を洗い流してくれることでしょう。


そんな「山海塾ベタ褒めのこくうぞう」が、ぜひ発芽させたい
『お仕事のタネ』は山海塾の写真集出版です!

山海塾の本拠地であるパリでは、約一ヶ月に渡って行われる公演チケットが、
初日を迎える前にすべてソールドアウトになってしまうほど人気があります。
地下鉄の駅に貼られた山海塾のポスターが盗まれることもよくあるそうです。
山海塾はお金儲けにあんまり興味がないのか、それともそんな時間もないほど
世界中を飛び回って公演をしているためか、真偽のほどはわかりませんが、
ここ10年くらいの舞台をおさめた写真集は作られていません。

自らの肉体を自在に操り、美しく踊る舞踏手たちは、舞台の上で
「この瞬間にできる最高の踊り」を私たちに見せてくれます。
ですが、それは一瞬で終わってしまうもの。
「生で観る良さ」に勝るものはありませんが、その「貴重な一瞬」を
切り取って後世に残せる写真集は、ファンにとって必ず入手したいもの。

折しも来年は山海塾創設35周年。
そして天児牛大さんは今年で御年60歳。
写真集を出版するならこの機会をおいて他にありません!
出版社さんさえ決まれば、すぐにでも実現できそうな気がします。

どこか手を挙げてくださる出版社さんがいらっしゃいましたら
ぜひこくうぞうまでご一報くださいませ。

販売の対象となる地域は山海塾の公演地域=世界中です!

投稿者 こくうぞう : 2009年6月 9日 11:06